葉っぱの物置

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魔動死骸区シリーズ第1話

魔動死骸区シリーズ第1話「魔動死骸区に奈落の魔域がたくさん発生する話」のセッションレポートです。

何か月前になるかちょっとよくわからないですが書きました。

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成長

ナザラ シューター2⇒4

キャラクターシート

 

セシリー プリースト2⇒3、ライダー1⇒2 

キャラクターシート

 

アレク ファイター2⇒3、レンジャー0⇒1

キャラクターシート

 

レン グラップラー2⇒3、エンハンサー1⇒2

キャラクターシート

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「つる草屋敷」の仕事から一か月。
ちょっとした「仕事」や小さな事件はあったものの、君たちは平和、そして順調な生活を送っていた。
しかし一つ、気がかりなことがあった。
時々スラムの子供たちにと食べ物を置いていくヤマネコのリカント、リオル。
だいたい一週間に一度やってくる彼が、前から10日経ってもまだ来ないのだ。

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 「ごみを捨てに来ているだけだ」と言いながら食べ物やちょっとした雑誌を置いていくリオル。彼は最後に別れた時、こんな内容の忠告を残していました。

 

グレンという男には気をつけろ。グレンは最近この魔動死骸区にやってきた男で、独自の麻薬仕入れルートを持っている。幹部に取り入ろうとしているようで、リオルの陣営にもあいさつに来たが、そこの幹部は麻薬があまり好きではないので追い返した。

 

リオルもクスリは嫌いであり、自分で扱うことはありません。

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リオルを心配しながら過ごしていると、前話で助けたアウレリアの主人であるミレーネ、盗賊ギルドの娘である彼女から仕事がある、と伝言があります。

早速行ってみると最近起こっている「奈落の魔域の連続発生」の原因を探り、できれば止めてほしいとのこと。

解決までいけば1万ガメルという報酬と、一部PCは奈落の魔域を放置するわけにはいかないという思いから"夜露草"はこれを引き受けます。まずは3件の奈落の魔域発生現場で、発生当時の状況を聞きこみです。

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最初はスラム街。奈落の魔域はすでに破壊されていますが、その痕跡を示すように地面が球状にえぐれています。すぐそばのボロ布をまとった男に話を聞くと、

「話が聞きたいって?そうだねぇ、ちょっと旦那方のご慈悲をいただけるとね、うれしいんだが……」

とのこと。こういう時のお約束として、ナザラの投げた銀貨が口を滑らかにします。わかってるPLでGMはとてもうれしい。ちなみにセシリーが投機目的で買い集めているツボには見向きもしませんでした。

 

話によると、奈落の魔域はちょうど住人の一人の寝床を飲み込むように発生しており、奈落の魔域が破壊された後もその男は見つかっていないのだとか。

 

さらに飲み込まれた男が最近麻薬を始めたこと、麻薬中毒者が姿を消していること、麻薬のことなら”朽葉通り”が扱っていることなどを話します。

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続いて2つ目の発生現場は娼婦が住んでいたアパートの一室。

隣部屋の女性によると、飲み込まれた娼婦が最近お客にもらった麻薬を使っていたそうです。そのお客は「左耳の欠けたヤマネコのリカント」らしいのですが、実はこの特徴はセッション開始時に出てきたリオルと一致します。しかし彼は麻薬嫌い。何かがあったのか、それとも別人なのか……。

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3か所目は町はずれの廃墟。

近隣住民によると、ここでは若者たちが夜中に”パーティー”を開いているとのこと。また奈落の魔域が発生したと思われる時刻に、一人の若者がそこから走り去ったのが目撃されていました。

廃墟の中に残されていたのは、脱ぎ捨てられた複数人の衣服麻薬の葉巻

どのような”パーティー”が行われていたか理解したPLも大興奮でGM冥利に尽きます。こんなに盛り上がるとは……こういうの好きなんだなあ。

 

立ち去った若者のおうちにお話を聞きに行くと、彼は震えて「あの麻薬はリーダーが朽葉通りでもらってきたんです。だから僕は知りません。あんな危ないものだなんて知らなかったんです。僕は悪くない」と言うばかり。

遊び仲間がどうなったを気にする様子は見せません。でも絵がかわいかったのでPLに大人気で「もっといじめたい」と言われていました。

 

葉巻の分析と逃げて行った若者の証言により、麻薬の使用者の身体から奈落の魔域が発生していることが明らかになります。

 

ついでにまだ残っていた奈落の魔域に突撃して中にいた"リーダー"が女を侍らせてニヤニヤしている奴だったり魔神に変化したりするのを見届けて倒しました。アビスシャード、ゲットだぜ!

魔神に変化しなかったので助けられた女の子二人(例の乱れたパーティーのメンバー) が強さを見せたPCたちに媚び媚びになるところも見どころの一つです。

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やべー麻薬の出どころを突き止めてやるぞ!と乗り込んだは朽葉通り。しかしそこで聞いた話は「麻薬嫌いで知られている盗賊ギルドの幹部が、グレンなる男が持ち込んだ新種の麻薬の取引を開始した」と言うもの。

 

あかんやつやこれ……。

幹部ともなると手出しができません。ひとまず依頼主ミレーネに報告して指示を仰ぎます。ミレーネは「幹部はこっちで何とかするから、証拠のためにグレンを捕えてほしい」と言い、その証拠をもって原因解決の報酬を払うと言いました。

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というわけで売人をつけて麻薬倉庫に突撃突撃!

そこで"夜露草"を待ち受けていたのは麻薬を葉巻にする人間2人と、左耳の欠けたヤマネコのリカント。しかし喋り方も、その表情もリオルとは似ても似つきません。

「……リオルにぃをどこへやった」

と問い詰めるセシリーに、偽リオルは

「リオルにぃ、ね…。じゃあ会わせてやるよ。いとしのお兄ちゃんになぁ!」

とタルを蹴り転がし、その中から現れたのは変わり果てたリオル。

同時に、偽リオル――グレン――は筋骨隆々のレッサーオーガの姿を現しました。

絶句するセシリーに「リオルさんがやられるわけない」と声をかけるナザラ。戦いの構えを取るレン。アレクも静かに怒りを燃やしつつ、武器を構えます。

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戦いの始まりを告げたのはエピックトレジャリーで新登場の雷鳴の矢!鳴り響く轟音で、着弾点の至近にいた敵に判定ペナルティーを与えていきます。

続いて薙ぎ払いをお見舞いすべく近づいたアレクが、ガタゴトと動くタルをついでにオープン。中から現れたのは体が溶けた人のような魔神のようななりそこない。別システムなら正気度チェックが入るところでしたね。

正気度は減らしませんが攻撃すると毒の体液をばらまいて周囲にダメージを与えてくるやっかいなやつらです。楽しい。薙ぎ払いで全部巻き込めばもう阿鼻叫喚と言う寸法よ。残念ながらかしこいPLたちは1体だけ攻撃して毒を出しておくというかしこい作戦を取りました。当然ですね。

薙ぎ払いに続いてレンの3連打が内職チンピラをひとり吹き飛ばします。

が、一番体の大きいアレクを倒せば後は女子供、と見たグレンは、自身と部下の攻撃をアレクに集中させます。殴り、殴り、リープスラッシュ!抵抗は抜けたものの威力表の出目がおとなしく7点の魔法ダメージ。命拾いしましたね……。

その後は1ターン1killされて行き、幼女レンの3連打がヤバいのでは?とグレンが気が付くころにはもう遅い。重い拳を叩き込まれ、追撃のジャスティスフォースであえなくグレンは地に伏せたのでした。

あと少しでアレクをやれたのに……。

*

麻薬倉庫の中からは麻薬の材料や金目の物の他に、汎用蛮族語と上級蛮族語(ドレイク語)で書かれた指示の手紙が見つかりました。どうやらこれには、もっと上の蛮族か何かが関わっているようです。

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ミレーネに報告したところ、これは調査を行わせる十分な証拠になりそうだ、ということで依頼完了です。

 

さて。タルから出てきたリオルですが、まだ魔法による蘇生が可能かもしれないということで、報告と共に遺体をミレーネのもとへ運び込みまれていました。ちなみに

「どうしてそのまま殺しておいてくれなかったんだ!」とか言われたら辛そう(満面の笑み)

とか言ってるPLがいて「わかります、わかりますよ(邪悪だなあ)」と私は思いました。

ミレーネが蘇生を行う条件として提示したのは「リオルがよみがえることを選択した場合、ミレーネの部下として働かせる」こと。PCたちから1万ガメル巻き上げて「へへへ、いくら大好きなおにいちゃんのためとは言え1万ガメル出せるかな」みたいなことをする邪悪なGMはいなかったのです。よかったね。

 

リオルの死をあらためて確認し、泣きじゃくるセシリー。

「スラムでこういう"仕事"をするって決めた以上はな。近々身近な誰かがこうなるって思ってたよ」とつぶやくナザラ。それぞれにセシリーを気遣いつつ、事件はひとまず終わりを迎えたのでした……。

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場面は変わって、PCたちの登場しないマスターシーン。

 

玉座のような豪華な椅子に腰かける人間の男の前に、体に闇色の宝玉が埋まった男――ディアボロ――がひざまずいている。

人間が「実験はどうなった」と問うと、イスデガと呼ばれたディアボロは「グレンがしくじりましたが、アビスコアを発生させる効果は確かめられた」とかしこまりながら答える。

イスデガを下がらせた後、人間は「あと少しで、貴女に破壊と混乱を、血と嵐を捧げることができる。ああ、我らがフラミラルべスよ!」と天を仰ぐ。

 

破壊と混乱、血と嵐。なんとも波乱を予想させますね。

魔動死骸区と夜露草を待ち受ける運命やいかに。

 

続きからはGM視点裏話をつらつらと。

 このシナリオはもともと身内で2回ほど回してお気に入りだったので、2019年のお正月に単発セッションとしてTwitterでPLを募集して行ったものになります。その時もめちゃくちゃ楽しかった。治安の悪い街のお約束を使えるのは楽しい。

 

その時、奈落の魔域を発生させている組織の企みとかで続編ができそうですね~と言ったことはセッション後の感想戦でも話していました。それからふんわりと続編を練っていて、PL参加していた「300年目の英雄譚」のdiscordサーバーでぽろっと「やりたいCPネタがあるんですよね」とこぼしたところいつの間にかそういうチャンネルができてなんかキャンペーンをやることになった次第です。

 

シナリオを書いて&GMして一番楽しかったところは魔動死骸区のNPCのRPです。銀貨をもらったとたん口が滑らかになる物乞い、廃墟で開かれる麻薬乱交パーティー、遊び仲間が奈落の魔域に飲み込まれてところから一人逃げだし助けも求めず「僕は悪くない」しか言わない少年、このセッションでは登場していませんが酒場に聞き込みに行くと出てくる女性PCに絡んでくる酔っ払い、後はシナリオボスであるグレンがタルを蹴って中から入れ替わり元のリオルの死体が転がり出るところ……。治安の悪さを存分に味わってもらえたらうれしいですね。特に死体が出るところは楽しかったです。PCたちとリオルの関係を結んでおいてよかった。

 

グレンはレッサーオーガをベースに改造したものですが、かなりPCを追い込めました。というかよく死ななかったね。えらい。